Chapter 1. 膝と腰の関係
9月になり、暑さも幾分和らいでまいりました。しかしまだまだ暑い日が続くようですので熱中症などには十分ご注意ください。
ブログ内容について検討していたのですが、当面、毎日の診察の中で患者様に説明する機会の多いことを少しずつ書いていこうと思います。
第1回は 腰と膝の関係について 書こうと思います。
当院を受診される患者様に指導する機会が最も多いのが姿勢の話です。
横向きのシルエットをみてその人の年齢をイメージすることがある程度可能です。
これは高齢になると背中が丸くなっていくイメージが皆さんに既にあるからです。
つまり普通に歳をとっていくと背中は丸くなってきます。
なぜでしょうか?
人間は基本的に屈筋の方が、伸筋より強くできています。
全身を脱力したとするとすべての可動部分は屈曲します。(おなかの中の胎児のイメージ)
脳にダメージをうけ寝たきりなってしまった方等も同じような姿勢になっていきます。
これと同じことが、健常な方にも少しづつおきていきます。
具体的には1番多いのは、膝が伸びにくくなり、腰が曲がっていくパターンです。
人間は起立して歩こうとすると重い頭部を支えるために他の部分を調整してバランスをとります。
膝が曲がっている状態で、腰を伸ばすと後方に転倒してしまいます。
(膝が伸びなくなると腰が曲がる)
逆に腰が曲がった状態で膝を伸ばすと前方に転倒します。
(腰が曲がると、膝も曲がってしまう)
これが続くと膝も腰も曲がった状態が通常状態となり、伸ばせなくなってきます。
腰は曲がってしまうと脊骨(椎体といいます)の前の方に圧迫力が強くかかるようになります。
これに骨粗鬆症が併発すると椎体の圧迫骨折が起こりやすくなり、さらに上下の椎体にも圧迫力がさらにかか、新たな圧迫骨折を起こしさらに背中が曲がっていく・・・という悪循環が起こります。
すでに腰や膝が曲がってしまった場合はこれ以上進行しないように注意しましょう。
・なるべく背筋を伸ばして座る。
・腹筋と背筋を意識して頭のてっぺんからつりさげられているようなイメージで立ってみる。
・ずっと姿勢よくしておくことは無理なので、1日に何度かいい姿勢をとってみる。
・床に座って膝を伸ばした際、膝の裏が床に着くか確認する。
(浮いてしまう場合はマッサージやストレッチをして伸ばしてみる。)
・骨粗鬆症の方は治療することで圧迫骨折の発生をなるべく回避する。

できれば固まってしまう前から、自分の体の状態をチェックしていきましょう。
悪化する前から予防することが一番です。
人は例外なく歳を取っていきますから、私だけは大丈夫と思わないことも大切です。
いい姿勢をできるだけ保持するように若いうちから気を付けていきましょう。