Chapter 3.2 高血圧について


高血圧とは動脈の圧が高い状態が持続することです。
通常は起床時、寒い時期に安静時の血圧が高くなる傾向があります。
運動時に一時的に上昇するだけなら運動量の調整だけでよいと思います。
血圧の目標値
① 合併症のない75歳未満 140/90 以下
② 合併症のない75歳以上 150/90 以下
③ 糖尿病、慢性腎不全合併 130/80 以下
血圧が上昇する原因と対策
①血管の中の血液が多すぎる
原因:塩分過多で濃くなった血液中の塩分濃度を薄くするため循環血液量が多くなる
対策:塩分の摂取を控える。
尿の量を増やして循環血液量を減らす(利尿薬)
血液の中の塩分を減らす(ARB系降圧剤)
②血管が硬く、狭くなっており圧力を高くしないと血液を送れない
原因:血管が硬くなって広がりにくい
血管の中に老廃物が溜まって血管が狭くなっている。
対策:血管を広げることで血液が通りやすくする(Ca拮抗薬)
これ以上血管が狭くならないようにコレステロールや血糖値をコントロールする。
コレステロール生成抑制(スタチン系脂質改善薬)
血糖コントロール(血糖降下剤 各種)
③心臓が強く働きすぎる
原因:甲状腺機能亢進、自律神経障害など(ドキドキする)
対策:原疾患の治療(甲状腺機能調整など)
ストレスの軽減など(抗不安薬、漢方など)
高血圧が関連していると考えられる主な疾患
①脳 :脳梗塞、脳出血
②心臓 ;心筋梗塞、狭心症、心肥大 等
③腎臓 :タンパク尿、慢性腎不全 等
④網膜 :眼底出血(特に糖尿病合併例)
⑥大動脈:解離性大動脈瘤 等
現在使用される主な高血圧薬
・ARB :オルメテック、カンデサルタン、バルサルタン等
・Caブロッカー:アムロジピン、アダラート等
・利尿剤:フルイトラン、スピロノラクトン等
・合剤:レザルタス(ARB+Ca), プレミネント(ARB+利尿薬)等
・その他 α、β遮断薬等は心不全、不整脈等の特殊な場合に併用されることが多い
*太字は当院で採用している薬剤
高血圧治療薬の特徴
・現在臓器保護効果が最も高いのはARBとされている。
・通常の場合、高血圧治療薬で血圧を下げすぎることはない。
・利尿薬は脱水のリスクが伴うため使用には十分な注意が必要
・効果不十分な場合:ARB → Caブロッカー → 少量の利尿薬 の順に追加が基本方針。
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